刃文
- Day:2017.04.25 20:54
- Cat:Liberal arts

これ全部いわゆる和包丁です。
ステンレスとかじゃない「鉄」なので扱いを怠けると見事にあっという間に錆びます。釣り用のナイフとしてどうなん?と思いますが、さすがに海では使えません。もっぱら渓流釣り用。
出刃と柳刃は学生の時から使ってますから、もう20年以上になりますね。最初の頃は見た目とかあんまり気にしなかったので、800番ぐらいの砥石でまあ切れ味だけ保てばいいか、というぐらいの研ぎ方でしたが、2、3年前に5000番の砥石を入手してからは、つい毎回ピカピカにしてしまいます。(出刃までこうする人あんまりいない気がする。)
この研ぎ方だといまいちはっきりしませんが、和包丁には基本的に刃文が出ることになってます。出刃と柳刃はよく見ると刃先から5mmぐらいの幅でうっすらと出てるのがわかりますね。菜切もしばらく使ってると変色の具合が違ってくるのでわかります。刃先の固い鋼と身のほうの柔らかい地金の境目、ようするに違う素材の境目。釣り用ナイフは地金がダマスカス鋼だからなのか、あんまりわからない。ちなみにダマスカス鋼は特有の紋を浮かせるには専用の砥石が必要なのですが、持ってないのです。
で、この和包丁の刃文をずっと自分で研ぎながら見てたので、てっきり日本刀の刃文も同じ理屈で出るものだとずっと思ってたのですが、違いました。
というかそもそも造りも違ってて、包丁は(両刃の場合)鋼を地金で包む構成で鋼は刃先にだけ露出するのですが、日本刀は(何種類かある構成のうち基本的な形は)芯に柔らかい地金(心鉄)が入っててそれを鋼で包む逆の構成。なので表面は刃先から背までほとんど鋼。まあ用途を考えたら当たり前といえば当たり前ですが、目から鱗。
なので日本刀の刃文というのは素材の境目ではなくて、焼き入れの時に刃先だけ特別な処理をする、その化学的な変性の跡なのだそう。はは〜、だから「意匠」としての幅が広がるわけですね。
ずいぶん周回遅れで日本刀に興味が出てきました。